ピロリ菌検査|内科・消化器内科はしむらクリニック|高槻市富田丘にある内科・消化器内科

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ピロリ菌検査

ピロリ菌検査|内科・消化器内科はしむらクリニック|高槻市富田丘にある内科・消化器内科

ピロリ菌とは

ピロリ菌とは

ピロリ菌は正式名称を「ヘリコバクターピロリ」という細菌です。大きさは4/1000ミリ程度のらせん状の細菌で、鞭毛(べんもう)と呼ばれる糸状の突起があり、口から摂取することで胃の粘膜に鞭毛が絡みつけて棲みつくと考えられています。ピロリ菌は土や水の中に生息しているため、衛星環境が感染に関与していることが分かっており、発展途上国で感染が多い傾向があります。日本でも、60歳以上の方での感染率は50%以上とされますが、衛生環境の改善に伴い20歳以下では10%以下といわれております。また、ピロリ菌に感染する時期としては、ほとんどの場合免疫機構が十分に発達していない乳幼児、特に4歳以下であるといわれ、ピロリ菌に感染した親による食事の口移しなどでも感染してしまいます。
胃の中は食事を消化するために胃酸(塩酸に近い強い酸)が分泌されるため、以前は細菌は存在できないと考えられてきました。しかし、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を分泌し、周囲にアルカリ性のアンモニアを作り出すことで胃酸を中和しながら生存し、1982年に実際に胃の中に生息していることが確認されました(発見した研究者は2005年にノーベル賞を受賞しました)
ピロリ菌の問題点は、一度感染すると除菌しない限り胃の中に棲みつづけます。ピロリ菌は、感染すると胃の内壁に炎症を引き起こし、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍を発症させます。また、長い期間胃炎を起こすことで、胃の粘膜が疲弊してしまい萎縮(粘膜が薄くなる)が進みます。慢性的な炎症を起こす部位は細胞のDNAが傷つけられ、最終的には胃癌や、血液の癌であるMALTリンパ腫(悪性リンパ腫の一種)を発症させます。
ピロリ菌の除菌治療によって、これらの病気を防ぐとともに、次世代への感染予防が可能となります。気になる症状のある方はお気軽に相談ください。

ピロリ菌が原因となる疾患

ピロリ菌に感染すると、前述のように自然治癒することはほぼなく、慢性的な胃炎を引き起こし続けます。ただ、程度としてはごく軽度なので、すぐに自覚症状が出ることはありませんが、長期間炎症が起こり続けることで胃の粘膜が疲弊し、胃炎症状を発症します。具体的には、胃がムカムカする、みぞおちが痛い、腹部の膨満感がある、吐き気がよくある、食欲がない、などです。気になる症状のある方はピロリ菌のチェックをしてみてはいかがでしょうか。

このような方はピロリ菌要チェック

  • 胃炎症状が持続している
  • 胃薬を飲んでも症状が一時的にしか回復しない
  • 胃炎や胃・十二指腸潰瘍を起こしやすい
  • 健診の胃のバリウム検査で異常を指摘された
  • 1970年以前の生まれである
  • 衛生環境の悪いところに住んでいたことがある
  • 家族にピロリ菌の感染者がいる

ピロリ菌検査について

ピロリ菌の有無を調べる検査には、大きく分けて内視鏡を使う方法と使わない方法があります。

胃カメラを使用しない検査

尿素呼気試験(UBT)

検査用のお薬を飲んでいただき、一定時間経過した後の息(呼気)にピロリ菌の反応が出るかを調べます。身体の負担が少なく、簡単で精度も高い検査です。

ヘリコバクタピロリ抗体検査

ピロリ菌に感染していると体の中にピロリ菌に対する抗体ができます。この抗体は血液、尿の中に含まれているため、その量を計測する検査です。尿は精度が低いため、当院では血液検査でこの抗体の有無を調べます。

便中ヘリコバクタピロリ

便中のピロリ菌の抗原を調べます。身体への負担がなく、精度も高い検査です。ピロリ菌検査を行うにあたり最もお勧めの検査です。

胃カメラを使用する検査

迅速ウレアーゼ試験

胃の組織を採取して、ピロリ菌が作り出すアンモニアによる反応を試薬で調べます。

鏡検法

採取した組織を染色して、顕微鏡でピロリ菌の存在を確認します。

培養法

採取した組織を培養して、ピロリ菌が増えるかどうかを見て判定します。

※胃カメラを使用する検査では、検査時に同時にできるので簡便ですが、ピロリ菌の分布してない部位の組織だと、内視鏡を使用しない方法と比べ精度が低くなります。

ピロリ菌の除菌

ピロリ菌は、2種類の抗生物質と1種類の胃酸を抑える薬を、1日2回(朝晩)1週間服薬することで除菌ができます。保険適応では2回の除菌療法が認められており、1次除菌で70〜80%程度2次除菌で95%程度の方が除菌できるといわれております。除菌することで、胃癌や潰瘍のリスクを年率1/3程度に抑えることができ、次世代への感染予防も可能となります。

1次除菌後の判定検査

1次除菌後、2-3カ月以上期間を空けて再度ピロリ菌検査を行い、除菌が成功したかを判定します。
1次除菌で失敗しても、2次除菌へ進みます。2次除菌では、1次除菌の薬剤を1種類変更して、また1週間お薬を服用していただきます。
2次除菌でも不成功になってしまった場合は、3次除菌となりますが、3次除菌以降は保険適用がなく、除菌率も落ちるので強くお勧めはしませんが、自費診療で除菌を行うことも可能です。

副作用について

大多数の方は何事もなく除菌治療を終えますが、副作用として軟便や下痢が報告されています。また、ごくまれではありますが、発熱、肝機能異常、血便、じん麻疹なども起こり得ます。これらは放っておくと悪化する可能性があるため、このような症状が出た場合は速やかにご来院ください。

除菌治療後も定期的な検査は大切です

ピロリ菌を除菌することで胃癌の発症リスクを軽減することはできますが、発症をゼロにすることはできません。除菌を行っても胃粘膜のダメージ(萎縮)は残るため、もともとピロリ菌がいない方に比べると、胃癌の発生頻度が高いことがわかっています。また、胃癌の原因はピロリ菌だけでなく、塩分の過剰摂取や喫煙、食生活とも密接に関連しているといわれています。ピロリ菌が陰性であっても、胃癌を早期の段階で見つけるためには、1年に1回の定期的な内視鏡検査が重要です。

ピロリ菌除菌後の胃癌発生率